アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した映画「ザ・コーヴ」をめぐって、映画館が次々と上映中止を決めています。これを「反日映画」だとす る一部の右派団体からの電話や街宣による抗議を受けての「自粛」措置と思われますが、2年前の映画「靖国」の上映中止事件とよく似た事態といえます。
こういう事態が一般化すると、評価が分かれるような問題作というべき映画は上映できないことになってしまいます。そもそも海外では広く公開されて いるこの映画が、作品で描かれた当事国の日本で公開できないというのは、日本における「言論表現の自由」がいかに脆弱かを示す事柄といえましょう。
この映画の内容や制作手法については、この間、批判も含めて様々な意見や評価が表明されています。そういう作品こそ、広く議論に供されるべきで、 作品そのものを封印してしまうことは、その機会さえも奪うことになってしまいます。
言論表現の自由は、発表の場が確保されてこそ成立するもので、映画館も表現活動の一翼を担う場であることは明らかです。私たちは言論表現活動に携 わる者として、上映中止に反対します。
また現在、全国の上映予定の映画館に中止を求める電話抗議がなされているようですが、それらの映画館が表現の場を守るという立場を堅持することを 切望し、そういう映画館を応援します。
●賛同者(6月8日現在、五十音順)
青木理(ジャーナリスト)/有田芳生(ジャーナリスト/民主党参院比例区第61総支部長)/飯田基晴(ドキュメンタリー映画監督)/飯室勝彦(中京大学教
授)/池添徳明(ジャーナリスト)/池田香代子(翻訳家)/石坂啓(マンガ家)/石丸次郎(ジャーナリスト/アジアプレス)/岩崎貞明(『放送レポート』
編集長)/上野千鶴子(社会学者)/生方卓(明治大教員)/大谷昭宏(ジャーナリスト)/小田桐誠(ジャーナリスト)/桂敬一(立正大学文学部講師)/北
村肇(『週刊金曜日』編集長)/國森康弘(フォトジャーナリスト)/是枝裕和(映画監督)/崔洋一(映画監督)/斎藤貴男(ジャーナリスト)/坂上香(ド
キュメンタリー映画監督/津田塾大学教員)/坂野正人(映像ジャーナリスト)/坂本衛(ジャーナリスト)/佐高信(評論家)/佐藤文則(フォトジャーナリ
スト)/澤藤統一郎(弁護士)/篠田博之(月刊『創』編集長)/柴田鉄治(ジャーナリスト)/下村健一(市民メディア・アドバイザー)/ジェイソン・グレ
イ(ジャーナリスト)/ジャン・ユンカーマン(映画監督)/張雲暉(映画プロデューサー)/白石草(OurPlanet-TV代表)/杉浦ひとみ(弁護
士)/鈴木邦男(作家)/想田和弘(映画作家)/田原総一朗(ジャーナリスト)/土屋豊(映画監督/ビデオアクト)/土井敏邦(ジャーナリスト)/豊田直
巳(フォトジャーナリスト)/鳥越俊太郎(ジャーナリスト)/中山武敏(弁護士)/七沢潔(ジャーナリスト)/野田雅也(ジャーナリスト)/野中章弘
(ジャーナリスト/アジアプレス)/橋本佳子(プロデューサー)/服部孝章(立教大教授)/林克明(ジャーナリスト)/原寿雄(ジャーナリスト)/日隅一
雄(弁護士)/日高薫(ジャーナリスト)/広河隆一(『DAYS
JAPAN』編集長)/藤井光(現代美術家・映像ディレクター)/森達也(作家・映画監督)/森広泰平(アジア記者クラブ事務局長)/安岡卓治(映画プロ
デューサー)/山上徹二郎(映画プロデューサー)/山本宗補(フォトジャーナリスト)/豊秀一(新聞労連委員長)/李纓(映画「靖国」監督)/綿井健陽
(ジャーナリスト/アジアプレス)
※賛同者はさらに増えており、6月9日の〈「ザ・コーヴ」上映とシンポジウム〉で、最終的な賛同者を発表します。またその場で、賛同者から何人かに直接発
言をしてもらう予定です。
アピールについての問合せ先:月刊『創』篠田博之 電話03-3225-1413 メール mail@tsukuru.co.jp
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映画『ザ・コーヴ』上映とシンポジウム」ネット中継のお知らせ (篠田博之の「メディアウォッチ」)
「ザ・コーヴ」は内容を調べる限り観たくもない映画だが、一方こういう映画でも上映する自由を守る運動には賛成。
(via nakano) (via ichimonji) (via yaruo)